🔍 日本神話の機密をポロリ『古語拾遺こごしゅうい』の訳


今回は、『古事記』の最初の方に出てくる 『天岩戸隠れ』の原形です。
こちらが初期バージョンで、『古事記』の方では、このバージョンを基に話が拡張されたのですが…… 『古事記』側ではどんな描かれ方か? 初期構想の時は、食物の神の『大気津比賣神オオゲツヒメノカミ』の解説はなかったようですね。 すぐ右下の  リンクから、『古事記』の該当記事 に飛べますので、両者を見比べてみると、どの部分をどう変化させたか? わかりますよ。   ・    ・ 
【原文と直訳】『天の岩戸』

于時うじ 天照大神アマテラスオオミカミ 赫怒 入于天石窟 閉磐戸而幽居焉

天照大神アマテラスオオミカミは赫々として怒り 天の石窟に入り 磐戸を閉じて幽居せらる


爾乃六合常闇 晝夜不分 群神愁迷 手足罔措 凡厥庶事 燎燭而弁

爾れより 六合常に闇に属し 昼夜の区別なく 群れる神々愁い迷い 手足罔措もてあます 凡そその庶事 たいまつしょく照らし 弁ずるのみ


高皇産靈タカミムスビ神 會八十萬神 於 天八湍河原 議奉謝之方

高皇産靈タカミムスビ神 総勢の神々 天の八湍河原 集合し 天照大神への謝罪の策を議す

テーブルデザインピンク2行 はて? これはドコの国の言葉ですか? 外国語?
このままでは、よくわかりませんよね? 以下は、【原文】の現代訳バージョンになります。
古語拾遺こごしゅうい』第1部 『天の岩戸』 「従五位下」官位 斎部宿禰廣成いんべのすくね ひろなり (奈良・平安時代)

その時、天照大御神は非常にご機嫌を害され、『天の岩戸』に入り、石の扉をご自身で閉じて中に隠れてしまいました。 そのため、世界は暗闇に包まれ、昼と夜の区別がなくなりました。 世の中はあらゆる事が混乱し、明かりのない暗闇の中で手探りをするようでした。 この混乱を収めるべく、尊い高皇産霊神タカミムスビノカミが、天安河あめのやすかわの河原に、総勢の神々をお集めになりました。 そして、天照大御神をなだめ、岩戸からお出でいただくための策を、神々が協議なされたのです。

📼 作者の斎部廣成いんべの ひろなり 一人語り風

今から語るのは『古事記』にも載っている『天の岩戸』の原形のお話。 ですが、その前に1つ。前提知識を。 実はこの話と同時期に、はるか遠く『筑紫の国』の方面で 『阿蘇の山が噴火』 しましてな、それはそれは《凄まじい尾スサノオ》の噴煙となって、黒い雲が急に空を包み込んだそうでございますわ。 (筑紫の国とは、噴煙のキノコ雲が「ツクシ」っぽく見えることから) 彼の地はその時「火の国」となられてしまって、その後は『肥後国』(火の跡の国)とも呼ばれているそうで…… 赤い高温のマグマが、山上から人に迫り、それはそれは地獄絵図となったそうでございますわ。 そこのところを1つ、心に留めてもらいまして、今回の話に入りますが……   ・    ・  さてさて、話はここからさらに大変なことになるんですわ。 さすがに、坊ちゃんの素戔嗚尊スサノオ 様がこのような感じだったものですから、姉上の天照大御神アマテラスオオミカミ も大変お怒りになりましてですな、ショックで引きこもってしまわれたのですな。 天の岩戸という、牢屋みたいなとこに閉じこもってしまい、石の扉で閉ざしてしまわれたとか。 そしたらもう、世界が真っ暗闇になりまして。 昼も夜も何も見えませんで、まるで太陽が岩奥に隠れたみたいに暗くなったわけでございます。 他の神々も、そりゃあもう、大慌てでございましてな。 みんな揃って「えらいこっちゃ! どないしよ!」と大混乱でありまして。 それでどうなられたかと申しますと、あの偉い高皇産霊神タカミムスビノカミ! 御大のご登場でございますわ。 非常事態とあって、御大が前に出られてですな、磯城瑞垣しきみずがき宮の別名〝天の河原〟に八百万の神々を集めて、大会議を開いたわけでございますわ。 皆で頭をひねって、どうにかならぬものかと、知恵を出し合ったわけでございますな。

「おいおい、どうすりゃいいんだ?」 「あの岩戸、どうにか開けられねえのか?」 「天照の姉ちゃん、すぐに出てきてくんねぇと、世界が暗えじゃねえか!」 「んなあ、めんどくせえ。ろうそく使え! 馬鹿野郎!」 「おめえはいいよな、おめえのツルツル頭は光ってやがるからな」 「うるせえ馬鹿野郎!」

そんなわけで、神々の方も大騒ぎでございました。

🎓 『古語拾遺』を理解する、分かりやすい解説

『日本神話』の中でも有名なシーン、『天の岩戸隠れ』に関する、『古語拾遺』バージョンです。 非常にアッサリしてるでしょう? 覚えておいてくださいね。事件が起こったシーンについてはアッサリ。 ところが、その対策案となる次のシーンに移ると、なぜか〝詳細な記述〟に変わります。 本来であれば『物語の流れ』としては、天照大御神が隠れてしまって、世界がこうなった! という事件の方が大切で、その対策の詳細なんて、半分どうでもいい、枝葉の部分。 なのに、この〝枝葉の部分〟が過去一番、詳細な記述なのです。 まるで、著者本人(斎部の先祖)が、そこに居合わせていたかのごとく……。 このバランスの悪さ……。 他の部分は、まだ『メモ書き』程度の中、ここだけ詳細……。   ・    ・  〝天照大御神が怒って隠れてしまった〟というエピソードについては、創作というか、当時の人の誤解なのですが、同時期の『火山噴火』🌋そのものは実際に起こっていて、地名や、神話にもその証拠が残っている。 この『火山噴火』への対策として、伊勢に神宮を建てたのは、本当のエピソードなのです。 火山噴火のことを、〝神の怒り〟と勘違いして、『鎮魂の儀式』の方向で本気の準備が進められていた。 NEXT『古語拾遺』第1部 先祖の古文書の筆写 その7








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